2012年12月14日金曜日

シルクスクリーンプリント用データ作成についてアレコレ。【修正版】

つい昨日出したばかりの「クマーTシャツのリメイク」もそうなのですが、Tee-MineのTシャツラインナップにも、徐々に「シルクスクリーンプリント」で作成された作品が増えつつあります。

例えば、amazonで「Tee-Mine シルクスクリーンプリント」で検索すると、こんな結果が表示されます。

■”Tee-Mine シルクスクリーンプリント”での検索結果。


シルクスクリーンプリントではない、所謂「インクジェットプリント」で作成されている作品との決定的な違いは「濃い色や黒いTシャツに絵柄がプリントされている」という点です。
これは何故なのか。そして、今回は「イラスト系の絵柄」でシルクスクリーンプリント用のデータを作成しているのか、その辺を簡単に記事にまとめてみます。

絵柄は、上に添付してる絵柄を使ってみましょう。
※補足、この記事をアップした翌日、社長からツッコミがありました><。紙媒体での感覚で記事を書いてしまっていたみたいで……。記事を修正しますね。(2012年12月15日):紙の上で使うインクの感覚でブログ記事を作成してしまってました。修正箇所もかなり広範囲になってしまいますので、読みやすさを優先し、削除した上で、訂正記事を書かせていただきます。


 【1:プリントの違い】

まず、シルクスクリーンプリントとインクジェットプリントの仕組みの違いです。

■インクジェットプリント:インクジェットプリンタと同じ仕組みで、生地にインクを噴射するタイプの印刷方法です。インクは顔料インクとなります。(昨日のブログ記事ではここを間違ってました)

■シルクスクリーンプリント: 版画の方式でインクを生地に定着させます。インクの種類はラバーインク等々、作品によって違ってきます。


つまり、基本、プリント方法には二種類になるという考え方でいれば、ほぼ問題ないでしょう。
——では、それぞれのプリント方法にはどんな違いがあるのか。
それをまとめるとこのようになります。

■インクジェットプリントは、プリント可能な生地が明るめの色に限定され、絵柄に使われている色に対して生地の色がフィルタ効果の様に影響します。(フォトショップで例えると、生地の上に”乗算レイヤー”で絵が配置されるというものになります。)
——但し、印刷機によっては、白インクを使える機械もありますので、一部例外もあります。

■シルクスクリーンプリントは、使用するインクの種類にもよりますが。プリント可能な生地色の制限を受けなません。そのかわり、プリンタがデータ内の色情報を読み込んで、自動で色を配置してくれません。絵柄の色指定をするには、事前にインクの色を指定るする必要も出てきます。Tee-Mineのシルクスクリーンプリントで使っている”ラバーインク”の場合、インクジェットと同じ様に、フォトショップで例えるならば、生地の上に”通常レイヤー”で絵が配置されるというものになります。

又、シルクスクリーンプリントは、版画の要領で生地の上にインクを定着させるので、その為の「版」を作成する必要があります。
データの作り方としては「インクを盛りたい部分を黒で作成する」という事になります。
あくまでも、頭の中では「版画を作成するイメージ」が必要となるのです。

絵柄によって、作り方は様々なのですが、今回の例の場合で、更に話を進めてみましょう。


 【2:シルクスクリーンプリント用のデータ作成

これから作成するデータはシルクスクリーンプリント用データですので、考え方としては「インクを乗せたい箇所を黒」で作成するという事を土台として考えます。
黒のTシャツで作成したいなあという、思いつきからのスタートでしたので、最初の用意した絵柄も背景は黒でした。

シルクスクリーンプリントの場合、最初に「使いたい生地の色を決めておく」という点が結構重要だったりします。なにせ、それによって、作成するデータをどうまとめるのかというのが、大きく変わってしまうのです。

そうなってくると、使うインクは白と決まります。

では白インクを盛る所を「黒」で作成する必要があります。
今回用意した絵の場合、フォトショップ上で色相を反転するだけで、どこにインクを盛るのかが判るデータが出来上がります。


色相反転でこうなっちゃいます。
用意した画像の黒部分が白に、白部分が黒になっただけの画像です。
この「色相反転」した画像の黒部分に「白インク」が盛られるという考え方ですね。


さて、こちらは、試しに用意した4枚のTシャツ。今回の絵をシルクスクリーンでプリントするとどうなるのかという点を中心に見ながら作業を進めます。

フォトショップで色相反転した画像はあくまでもドットの集まりでしかありません。
一色しか使わない絵柄の場合は、フォトショップ環境でも行けるのですが、複数の色のインクを使うTシャツにしたいという場合には、イラストレーター必須になります。
実は、フォトショップで作成した場合、複数の色を扱う作品の場合だと特に版がズレやすいのですね。あとデータもかなり大きくなってしまいます。
実際の作業で考えてみると。あまり現実的ではありません。


なので、フォトショップで色相反転した画像を、今回の様な絵柄の場合「ライブトレース機能」を使って「アウトラインパス化」します。

「ライブトレース」というのは、イラストレーターに内蔵されている機能で、イラストレーター側が、自動で仮想の雲形定規の様なものを変形させ、読み込ませた絵柄の輪郭を、まるでフォントの様に綺麗にトレースしてくれる機能です。


ライブトレースのサブメニューから「トレースオプション」を選択して、どの様なルールで絵柄の輪郭をなぞるのかを設定します。


この辺は「プレビュー」にチェックを入れた状態で設定用の数字を変化させるのが、トレス結果を見ながらの調整となるので便利です。

シルクスクリーンプリントは、普通の線なら0.5mmまで、ベタ抜きなら0.8mmまでの線に対応出来るという事を念頭に、あまり線が細くならない様に調整しましょう。


あまりに細かい線は「味として消えてもオッケー」くらいの気持ちでいるのが良いです。
調整結果に納得したら、トレースをクリックする事で、上の図の様になります。
さて、この段階で、最初は「ライブトレース」と表示されていたボタンが「拡張」という内容に変化します。

では、拡張をクリックしてみましょう。


一枚の板として読み込まれていた絵柄が、イラストレーター側で、自由に変形する雲形定規を駆使して自動で作図された絵柄に変わります。この状態が「アウトラインパス化された絵柄」というわけです。

作業しやすい様に、適当な色を選んで、Tシャツの画像上でレイアウトを組みます。


ちまちまと、拡大縮小や回転を使いながら場所を決めます。
レイアウトが決まったら、今度はインクの色の選択です。
今回、最初から「白インクで作成する」というつもりで作業を進めていましたので、白を選んでみましょう。


 【3:レイアウトが決まったらインクの指定です



今回の絵柄の場合、インクの指定は「白」になります。

これで、今回のブログ記事の最初でお見せした絵と同じ雰囲気のTシャツに仕上がります。
そうそう、絵を作成する前に、生地の色も決めておくみたいな事を書いてましたが、一つの例を出してみましょう。

今回、白Tシャツへのプリントは全く想定せずにデータを作成しています。
白Tシャツに白インクでのプリントは、当たり前ですが絵がみえなくなってしまいます。
なので、黒インクに変えてみるとどうなるか——。


なかなかガッカリな事になってしまいます。
こういう事がありますので、シルクスクリーンプリント用の絵柄を作成する時には、Tシャツイメージ画像の上での絵柄の見え方を必ず確認する必要があります。
もちろん、白いTシャツにあえて白インクでプリントする事で、とてつもなくカッコイイ仕上がりを演出しているTシャツもあります。なので、絶対に間違いという訳ではないのですが、結構な冒険であると覚悟も必要です。


では、話を戻しまして、パープルの生地に白インク。
これもイイカンジです。


 更に、赤の生地に白インク。
あとは、シルクスクリーンは、Tシャツのサイズに合わせて絵柄のサイズを変化させるというのが基本出来ませんので、予定しているサイズバリエーションの最小サイズで一番大きくプリントするなら、幅何mm×高さ何mmの版を作成するかという所を考える必要があります。
あとは、Tシャツのサイズが大きくなるにしたがって、絵柄の比率は小さくなっていきますので、全てのサイズを見越した絵柄の大きさの設定が必要になってくるのです。(但し、物によっては、サイズごとに版を用意するという場合もあります。Tee-Mineは基本、シルクスクリーンものは、版はMサイズを基準に、全サイズ共通で作成しています)

——とまあ、こんな感じで、シルクスクリーンプリントもののTシャツを作成する時というのは、インクジェット用の時と違い「作るのは版画だ」という事を意識しながらデータを作成する事になります。

この前出したクマーの場合、インクは4色なので基本はこの流れで4枚の版を作成し、更にそれぞれの版でどんな色のインクを使うのかを指定する事になります。色のズレなどの対応もかなりシビアになってきますので、もう、こうなってくると、イラストレーターの環境が必須になってしまいます。





それでは今回はこの辺で。
また次回~。

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